わのしき「キモノから四角いお供」|着物リメイクの風呂敷でおしゃれに”用の美”を愉しむ
休日の朝、近くのパン屋さんで朝食のパンを買う時。
何気なく立ち寄った本屋さんで、気に入った本と出会った時。
友人へのプレゼントや贈り物を少しオリジナルに送りたい時。
日常の中で、袋や包装紙を使う機会が点在しています。
日本では古くから、そのようなシーンで「風呂敷」が使われていました。
形としては至ってシンプルで、正方形に近く(縦の方が若干長い)、商人が品物を運搬したり、旅人が荷造りするのに用いたりと、広く定着していたそうです。
一枚の四角い布を、いろんな包み方をすることで、小物を入れる巾着に変化すれば、贈り物にふさわしい包みにもなり、大なり小なり用途に合わせて使うことができる風呂敷。
折り紙と同じく、自由な発想をもとに物を使うところに、用の美を感じますよね。
つるとでは、着物リメイクのひとつとして、着物や裏地をその使用した“わのしき”(風呂敷)を製作しています。
今回は、タイムレスで独自性あるプロダクト わのしき をご紹介します。
- 特徴その1)目と手で味わう美しさ
- 特徴その2)自在で機能性ある用の美
- 特徴その3)タイムレスなデザイン
- 現代版風呂敷で、日常を彩る
着物リメイクならではなの特徴その1|目と手で味わう美しさ
つると で製作するわのしきは、キモノフク(着物リメイク)で使用する着物やその着物の裏地が素材となります。キモノフク同様に、着物を解き、洗いを終えた後、コーディネート(組み合わせ)を考え、一枚一枚仕上げています。
着物から、四角い布を製作することで、着物のもつ風合いが程よく現れ、上質で洗練された風呂敷に仕上がります。
織りの素材感を知る
コットンの布生地や、和柄がプリントされている化繊の生地とはまた異なる、着物独自の素材感を味わうことができるのが、着物リメイクだからこその特徴です。
キモノフク全体を通して、着物に描かれた和の柄や模様の多様さを伝えています。その真髄たる和の柄の多様性は、わのしきにも通じ、さらにはそれぞれの産地による織りの違いを味わうことができるでしょう。
着物リメイクならではなの特徴その2|自在で機能性ある用の美
“用の美”は、わびさび 同様、世界に発信したい和の美意識のひとつですが、その定義自体は、比較的あたらしいです。
庶民の生活道具として使われていた、名もない職人による民芸品に新たな価値を見出し、“用の美”が称えられました。それは、1900年代であり、さほど昔のことではありません。
現代的“用の美”
美術品のように飾らない、使うことが前提としてある美が、いわゆる用の美でしょう。
時代の流れもあり着物が非日常になることで、着物=美術品と感じ方も多いでしょう。そのため、着物リメイクの風呂敷は、どちらかというと高級なスカーフのように捉えられるかもしれません。
しかし、わのしき はあくまでも、使うモノ。
その姿形が素朴でなくとも、職人によって生み出され、日常的に使用するモノであれば、あたらしいスタイルの用の美と、言えるのではないでしょうか。
着物リメイクならではなの特徴その3|タイムレスなデザイン
時代の変化とともに、美しいたくさんのキモノが眠っている今日。私たちは、その無数にあるキモノの中から、わのしきの素材となる着物を厳選し、異なる2枚のキモノを組み合わせ、1枚の四角い布に仕立てています。
なぜ、タイムレスなデザインなのか。
私たちが、キモノフクを製作する中で出会う着物は、どれも非常に優れていてユニークな柄や模様を持っています。その着物が作られた産地や、それを織った職人、それが生まれた時代により、着物の個性はさまざま。
受け継がれてきた文様や、キモノに描かれている絵柄は、時代を越え、世代を渡り今なお輝きを持っています。そうした着物に出会い、また別な着物とコーディネート(組み合わせ)することにより、時代や産地、職人が融和し、時代が交差するようなタイムレスなデザインに仕上がるのです。
現代版風呂敷が、日常を彩る
日本の四角い文化的アイテム=風呂敷が、どうやって、さりげなく日常に彩りをもたらすのかについて、つると の考えをここで共有できたらと思います。
わのしきの作りは、至ってシンプルです。
着物の元となる反物の幅をそのまま活かし、正方形に近いカタチに縫い合わせます。反物幅は、反物によってそれぞれですが、約34 cmから40 cmほど。その反物幅2枚分を使用します。
同じ着物を組み合わせることも可能ですが、つるとでは2種類の異なる着物を組み合わせます。それは、デザインの一部でもありますが、他にも理由があります。
それは、着物の柄や模様が、様々なコーディネートにより、見え方が変化し、着物をリメイクすることで、キモノのあたらしい可能性が見えるのではないか、と思うからです。
四角い布の小さな革命
変幻自在に、用途に合わせた使い方を考えた、先人たちは、クリエイティブの一言につきます。その先人たちの英知は、ひとつのモノで世界を広げてくれ、その身軽さが現代の生活を軽やかにしてくれるのではないでしょうか。
わのしき(着物リメイクの風呂敷)の結び方・使い方は、以降の記事にて、イラスト付きで、わかりやすくご紹介していきますが、四角い布を工夫して使うこと自体が楽しくなります。
これまでは、お店でお買い物する時には、お店側の気遣いで袋を用意してくれていたかもしれません。ですが、世界的トレンドは、そうではなくなりました。
自分で袋や入れ物を用意する中で、それがお気に入りのモノであったり、使い方の幅が広いのであれば、それは小さいことかもしれませんが、より丁寧な暮らしの一歩になるでしょう。
それが、私たちの考えている、わのしきに託した小さな革命です。
着るモノから、持つモノに
これからキモノフクにしていく着物を眺めていると、その一枚に込められている技巧の奥深さを深く感じます。それだけでなく、着物一枚に表現された季節や自然の豊かさも感じることができます。
しかし、時代の変化と共に、美しいたくさんのキモノが眠っている今、同時に私たちのこれまでに培われてきた文化も、眠ってままになってしまうかもしれません。
その文化が、日常的に持ち歩き、使用する わのしき にしていくことで、日本の季節感や和の配色といったユニークな感性が、失われることなく、ふたたび巡っていくでしょう。
着物リメイクした風呂敷=わのしき を、和のエッセンスが感じられる日常的なアイテムとして、使用してみてください。
1 Comment
今の暮らしにアドバイスをいただきました。風呂敷の活用術はマスター済です。
処分しようとしていた母のタンスにあった着物。迷わず風呂敷にリメイクして日常使いで楽しみます。この柄がいつも見ることかできるなんて幸いです。いままで帯でトートバッグ、
がま口ショルダー作りしてきましたが
リラックスして作ることができそうです。
着物を解くことから
さぁはじめるかぁ🤗